よくある質問と回答
Q 種まきはいつごろがよいのですか。
A 夜間の最低気温が15℃を下回らなくなったころ、例えば東京では5月中旬頃からが適期です。
平年並の気温推移であったとして、蔓作りの場合は5月10日頃から20日頃、切込み小蔓仕立ての場合は5月20日前後から6月初頭に蒔けば失敗が少ないでしょう。
展示会出品に間に合わせるため、夜間、家に取り込み、保温している人もいます。
Q 発芽適温は何度くらいでしょうか。
A もっとも発芽率の高い地中温度は22〜26℃ですが、18〜28℃の範囲なら発芽します。14℃以下では発芽が極端に悪くなるか、発芽しません。
Q ビニールポットに直播きしてはいけませんか。
A 差し支えはありません。その際、メリット・デメリットを承知しておきましょう。
メリット
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作業の省力化ができます。それほど多くない種を播く場合は、簡便でよい。
デメリット
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数多く種を播く場合、発芽しないこともあり、作業上のロスも多くなります。
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水分の蒸散が少なく、徒長しやすくなります。
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暑さ・寒さに敏感に影響を受けてしまい、一定の地中温度を保ちにくい。
Q 種を播く前にしておくとよいことは?
A 播くにふさわしい種かどうかを確認し、発芽しやすいようにしましょう。
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ぬるま湯に浸けてみて、底に沈む種を播きましょう。
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種子をよく観察し、へそ≠フあたりにヒゲのようなものが出ている場合、播かない。既に発根してしまった可能性のある種と考えられるからです。
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芽切りをすると良いでしょう。
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種を播く前にぬるま湯に数(3〜6)時間浸けておくと良いでしょう。
Q 種まきしてしばらく経つのに、発芽しないのですが。
A 発芽環境が整っていましたか。
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苗床の地中温度が19℃を下回っていませんでしたか。
苗床を太陽光に当て、地中温度を上げることは、発芽をさせる大切なことです。
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苗床に種を蒔いた後、たっぷりとぬるま湯をかけましたか。
種が十分な水分を吸収していないと発芽しません。
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苗床の砂はどのような砂でしたか。
水が溜まったまま、もしくは白く乾いたままになっていませんでしたか。
水ぬけの悪い土に蒔くと種が呼吸できず発芽しません。
砂の表面がうっすらと白くなってきたらぬるま湯をかけましょう。
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蒔き穴の深さはどのくらいでしたか。
蒔き穴が深すぎても発芽が悪くなります。1.5〜2cmの深さにそろえて蒔きます。
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種の保管状況はどうでしたか。
種を湿気の高い場所、高温な場所に保管していると、発芽が悪くなります。
Q 芽切りはどうしてもしなければいけませんか。
A 芽切りは必ずしもしなければならないものではありませんが、発芽時期をそろえるためには有効で、後の管理がしやすくなります。
仮に芽切りをしなかった場合、発芽環境が整わず発芽しないこともありますので、芽切りはおすすめします。
市販の種は吸水しやすくなるよう発芽処理してあるのでそのまま蒔いても発芽しますが、会の種や自家採種した種はそのような処理がされていません。
芽切りを行うことで吸水しやすくなり、発芽率が高まります。
Q 芽切りはどのようにするのですか。
A 種のへそ(種の角の凹んだ部分)のある側とは反対の背の丸まった方に、ナイフ、カッター、爪切、やすりなどで、中の白いものがうっすら見える程度に硬皮を削ります。
深く切りすぎますと、中に格納されている葉≠切ってしまうこともありますので、注意しましょう。
Q 去年会からいただいた種は、普通の朝顔よりも大きくなりましたが、展示会の朝顔よりは大きくなりませんでした。大きくなる種ではないのですか。
A 本会で提供する種子は少なからず大輪≠フ遺伝子を持っているはずです。栽培法の基本をよく理解して育ててみて下さい。
Q 気温が低くなってしまって、具合が悪くなってしまったのですが。
A この時期(苗床期〜小鉢期初期)に低温にあうと、苗は大きな打撃を受け、その後の成長に大きな支障が出ます。
発芽前に低温にあうと白子苗となります。葉緑素が不足するため、今後の順調な生長は望めません。種の予備があれば追い蒔きをします。
発芽後に低温にあってしまった場合は、回復する可能性がかなりあります。鉢の周りに保温具を巻いたり、二重鉢にしたりして保温に努めましょう。
Q 気温が高くなったときの対処はどうしたらよいのでしょう。
A 小鉢期(5月中旬から6月中旬)は、気温が35度を越えてしまうような猛暑は滅多にありません。
もし、鉢の表面がカラカラに乾いて苗がヘタリ気味の時は、少量の水分を補給してあげましよう。
しばらくすると、元の状態に戻ります。ただ、長時間放置しますと枯れてしまいますので、注意して下さい。
Q 間のび(徒長)してしまったのですが。
A 鉢内の水分量が多いようです。与える水を少なくしましょう。
それでも伸びてしまうときには、生長抑制剤(ビーナイン)の力を借りて、芽先に散布してみましょう。
本葉が3枚以下の場合、出来るだけ薬剤に頼らずに栽培したいものです。
Q 水はいつ・どの位の量を与えるのですか。
A 水を与える最適の時間は、午前10時頃と言われています。夕方の水やりは禁物です。
苗床から小鉢に移植し鉢内を乾かした頃は、およそ20ml(フィルムケース一杯)と少なく与えますが、根の成長と共に増量していきます。
小鉢期後半ですと、40〜60ml与えます。
ただし、栽培環境により違いますので、各自で対応して下さい。
水分の翌朝への持ち越しは避けるように管理しましょう。
Q どのような器材を使って水を与えますか。
A 水差しで与えます。慣れないうちは計量して与えるのも一法です。
双葉や本葉にはかけず、軸の周りを円形に与えます。
根の成長に伴い、しだいにその円も大きくなっていきます。
水はぬるま湯または汲み置きがよいでしょう。冷たい水は避けましょう。
Q 肥料はどのように与えるのがよいでしょうか。
A 液肥を希釈して使います。
一日の中で、水を与え、さらにあらためて液肥を与えるようなことはしません。水を与える日、液肥を与える日というように与えます。
水やりと同様、10時頃に与えるのが最適と言われています。
Q 脇芽が伸びてくれません。
A 鉢内の水分量が多いため、芽先(蔓)だけ上に伸びようとする力が働いています。与える水を少なくしましょう。
生長抑制剤(ビーナイン)の力を借りて、芽先に散布するのも一法です。
Q いつごろ定植したらよいのでしょうか
A 本葉が7〜8枚の頃が目安です。葉の色は少し青さが失せています。
鉢の底穴から根が見えるようになれば、根の張りがよいと思われるので、すぐ定植できます。
Q 定植時期になってきたのに、根の張りが悪いのですが
A 小苗鉢に戻して、数日間様子を見ます。水かけは少なめにします。
Q 本鉢に移植するとき、注意することは。
A 培養土を、最初から鉢の八割程度入れてしまう方がいますが、これは宜しくありません。鉢の中が水分過多になる原因となるからです。
いかに土を乾かすかを工夫するとよいでしょう。山型に土を盛るだけでも少量化することができます。後は、根の生長に伴い増し土をすればよいのです。
Q 昼間、葉がしおれてしまいますが 。
A 根に傷みがある場合と健全な場合があります。
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根に傷みがある場合
水を与えても葉が元気を取り戻すこともなく、その後も復元しない状態です。このような場合、日陰で養生してみます。
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健全な場合
少量の水を与えると、しばらくして、葉が以前のように元気な状態に戻ります。
日々の栽培の中で、このような状態を起こさせながら育てていくことが大切です。
ただ、余り長い間しおれた状態を続けますと、枯れてしまいますので注意して下さい。
Q 蔓が伸びてくれません。
A 蔓の伸びがゆっくりとしているのは、よい傾向です。必ず伸びる時期がやってきますので、それまで待ちましょう。
ただ、蔓が一向に伸びず、脇芽がすべて蕾化するような場合があります。これは、芯止まりする恐れがあります。蕾はつかなくなりますが、チッソ分を多めに与え、しばらく蔓を伸ばすことに専念しましょう。
Q 蔓の伸びが早過ぎるのですが。
A 蔓の伸びを抑制しなければならない時期を除いて、行灯作りでは、蔓先が一日に4〜5p伸びます。その後も少しずつではありますが伸びて、最終的に6〜7pの節間となります。
蔓先の一日の伸びが早いようでしたら、水分を抑制し、チッソ系の液肥を避けると良いでしょう。
また、蔓が頂上に到達するのが早過ぎると予想される場合は、別の脇芽から出た蔓に切り替えると良いでしょう。
Q 子蔓3本に生長上の特徴がありますか。
A 植物には頂芽優性(最先端や上にある芽ほど勢いよく伸びる)という生理があります。
子蔓仕立ての場合、本葉3、4、5枚目の脇芽(子蔓)を残しますが、5枚目の脇芽(子蔓)が将来的に一番早く伸びます。
本葉3枚目は初めのうちは、他に比べ長く伸びていますが、次第に伸び率は悪くなります。
どの蔓を使うかは、そのあたりの事情も考えてすると良いでしょう。
Q 蕾がついてくれません(その1)
A 鉢内の水分量が多いことが考えられます。水分量を抑制する工夫をしましょう。
水分量が多いと、植物は栄養生長をし、植物体そのものを大きくしようとします。
ですから、花芽ではなく葉芽という形で増殖していきます。
Q 蕾がついてくれません(その2)
A 上記(その1)以外に次のことが考えられます。
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肥料(チッソ)が効きすぎています。
葉色がとても濃くなる、打ち込みが上の葉にも出てくる、葉が巻いてくるなどの症状が見られる場合には、りん酸加里肥料を与えることでりん酸加里側に比重を移し、チッソとりん酸加里とのバランスを調整します。
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活力剤の使いすぎにより、着蕾しない現象が起こります。
蕾が着くのは子孫維持のためのです。これはある程度植物体が老化(成熟)していないとできません。
一方、活力剤は植物体を若返らせるための資材ですので、この資材の使用過多は着蕾しない現象を引き起こします。
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夜間が明るすぎると、蕾が着きづらくなります。
植物体が短日を感じ取ることができず、栄養生長をし続けるからです。栽培場所を移すか、遮光した方がよいでしょう。
Q 花が小さいのですが
A 初花は小さく、しだいに大きくなっていきます。日々薄めの液肥を与えましょう。
着蕾が確認されれば、チッソ系の肥料も少し与えてみましょう。
また、蔓が最上段に到達したら、必ず摘芯をして下さい。
Q 花弁の先端に縮れが出るのですが
A 肥料が濃いのでしょう。いったん植物内に取り込んだ肥料分はなかなか抜けません。
肥料を与えるのではなく、根気よく水を与えましょう。
Q 花切れが多いのですが
A 花芽形成・着蕾・蕾の充実・開花まで、20日前後を必要とします。その過程で、花切れを起こす要因が形成されていきますが、詳しくは解明されていません。今後の研究成果を待ちましょう。
Q 虫に花を食べられてしまいます。また、せっかくできた種を食べられてしまいます。
A オオタバコガの幼虫と思われます。幼虫は、夜間、蕾の中に入り込んで中を食べてしまいます。朝もほかの花に移って食べています。
葉の上に落ちている糞が小さいか、幼虫が1cmくらいまでの大きさなら、薬剤防除をします。アファーム乳剤は花き類に登録があり、小さい幼虫なら殺虫効果があります。蕾や葉裏にたっぷり散布します。
糞が大きかったり、幼虫が1cmを超えていると、薬剤防除の効果が低いので、夜間〜朝にかけて見つけた幼虫を捕殺します。
夜、蛾が葉にお尻をちょんちょんつけて飛んでいる場面を見たら、それは産卵しています。その3日後に孵化していますので、その時に薬剤散布します。
Q 種の採り方、保存の仕方を教えてください。
A さやが茶色に枯れてきて、がくが反り返ってきたら、柄をはさみで切り取り、品種銘などを記入した紙袋にさやごと入れ、しばらく乾燥させます。
さやが乾燥したら、さやから種を取り出し、採種年・品種銘を記入した紙袋に入れ、密閉できるビン(乾燥剤(シリカゲル)を入れておく)に入れ、冷暗所に保管します。
こうすることで、3〜4年は発芽力が落ちません。なお、ポリ袋に種を入れているとかびてしまいます。
Q どういう場所で栽培するといいのでしょう。
A 日当たりがよく、しかも長い時間日が当たる場所が最良です。少なくとも6時間は日が当たるのが望ましいでしょう。風通りのよい場所であればなおよいでしょう。
地上(庭)での栽培ならば栽培棚をできるだけ高く設置します。
Q 植木鉢が手に入りません。素焼鉢やテラコッタではいけませんか?
A 素焼鉢は乾きすぎるので、水やりを頻繁にしなければならず、好天が続くと苗がしおれやすく管理に手間がかかります。あまりお勧めできません。
テラコッタは朱温鉢と性質が似ていますので支障ありませんが、高台がないので鉢底からの水ぬけに難があります。テラコッタの栽培には下駄を履かせるなどを行う必要があります。
Q 肥料(水肥<液肥>)や農薬の倍率とはなんのことですか?原液量をどうやって計算したら良いでしょうか?
A 例えば1,000倍とあれば、水肥ないし農薬の原液1mL(または1g)を、水で最終的に1,000mL(=1L)に希釈するという意味です。
1mL×1,000倍=1,000mL=1L
必要とする最終希釈水量をmL(ミリリットル)に換算し直すとわかりやすいと思います。1L(リットル)=1,000mL(ミリリットル)、10L=10,000mLです。
最終的に必要な散布量を倍率で割ると、必要な原液量が出せます。<必要希釈水量(mL)÷倍率(倍)=原液量(mL)>
以下に倍率と原液量、水量の例を示しますので、参考にしてください。
倍率 | 例1 原液量 | 例1 希釈水量 | 例2 原液量 | 例2 希釈水量 | 計算例 |
100倍 | 10mL | 1,000mL(=1L) | 100mL | 10,000mL(=10L) | 10,000(mL)÷ 100(倍)=100(mL) |
200倍 | 5mL | 1,000mL(=1L) | 50mL | 10,000mL(=10L) | 10,000(mL)÷ 200(倍)= 50(mL) |
500倍 | 2mL | 1,000mL(=1L) | 20mL | 10,000mL(=10L) | 10,000(mL)÷ 500(倍)= 20(mL) |
750倍 | 1mL | 750mL(=0.75L) | 20mL | 15,000mL(=15L) | 15,000(mL)÷ 750(倍)= 20(mL) |
1,000倍 | 1mL | 1,000mL(=1L) | 10mL | 10,000mL(=10L) | 10,000(mL)÷1,000(倍)= 10(mL) |
1,200倍 | 0.1mL | 120mL | 1mL | 1,200mL(=1.2L) | 120(mL)÷1,200(倍)=0.1(mL) |
1,500倍 | 0.1mL | 150mL | 1mL | 1,500mL(=1.5L) | 150(mL)÷1,500(倍)=0.1(mL) |
2,000倍 | 0.5mL | 1,000mL(=1L) | 5mL | 10,000mL(=10L) | 10,000(mL)÷2,000(倍)= 5(mL) |
3,000倍 | 0.5mL | 1,500mL(=1.5L) | 4mL | 12,000mL(=12L) | 10,000(mL)÷2,000(倍)= 5(mL) |
Q 水肥(液肥)、ビーナインや農薬などが、散布しきれずに余ってしまいました。後日使用して支障ないでしょうか?
A 水肥は原液ならば濃いので腐らせずに保管できますが、希釈して一日そのまま置いておくと腐ってきます。腐敗菌が繁殖した水肥を施用すると培土に腐敗菌が入り込み根に悪さをするかもしれません。当日中に他の植木や花壇などに施用して使い切ってください。
ビーナインや農薬を希釈したものは、そのまま置いておくのはもちろん、例え瓶などに入れて保管しておいても成分が分解してくるので効果が薄れてきます。また、散布機にそのまま置いておくと散布ノズルを傷めたり、事故の原因にもなるのでやめましょう。農薬の場合、それを散布すると後々その剤が病害虫に効かなくなってしまう恐れがあります。適用があれば他の植木や花壇などに散布して使い切ってください。適用がないものには薬害がでる恐れがあるので、地面に撒くなどしてください。
関連項目
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初版:2013年3月31日