大輪朝顔栽培関連用語の主な語句を解説します。
種、発芽、小苗の期間に関する語句 葉に関する語句 花色に関する語句 花柄(模様)に関する語句 花筒に関する語句 鉢に関する語句 培養土に関する語句 肥料に関する語句 栽培管理・技術に関する語句 病害虫に関する語句 生理障害に関する語句
色軸[いろじく] ⇔白軸
胚軸に暗紫色、紫、赤、褐色などの色がついた状態を指す。花色との相関があり、双葉展開時に花色の推定に利用できる。
胚軸色 | 花色 |
---|---|
黒味の紫(艶のないくすみ) | 青(納戸、 縹)、黒鳩、鳩羽(鼠)、紅鳩 |
紫紺 | 藍 、 紺 (紺青、瑠璃紺、瑠璃) |
濃紫 | 紫 、濃紫 |
くすみの紫、白軸ですすけ | 藤 |
淡褐色 | 水色、薄鼠 |
やや淡い茶褐色 | 浅葱 |
茶・黄茶 | 茶 |
紅茶 | 濃茶 |
薄紅・濃い紅 | 紅紫、 紅 |
濃い紅で紫味あり | 濃紅、牡丹紅 |
淡紅・薄緑で桃色気味 | 紅 、淡紅、 桃 |
白軸[しろじく] ⇔色軸
胚軸が緑色で、色がついていない状態を指す。花色との相関があり、白花もしくは極淡色花が咲く。また、信濃柿のような覆輪花も白軸となる。
胚軸色 | 花色 |
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淡緑(白軸) | 白花、薄桃花、淡黄(薄黄) |
白軸に色の立筋 | 縞、時雨絞、咲き分け |
白軸に色の斑点 | 吹掛絞 |
双葉(子葉)[ふたば(しよう)]
発芽して最初に出てくる葉を指す。園芸学的には子葉と呼ぶが、朝顔では2枚出てくるので双葉という。通常よく見る朝顔の双葉に比べ、大輪朝顔の場合は丸みがあり、軍配のような形となる。洲浜葉の特徴。軍配型でなく、はさみのように先端がとがった葉は大輪に咲かないので廃棄する。
皮かぶり[かわかぶり]
発芽したとき種皮が脱げずに双葉に引っかかっている、または包んでいる状態。
双葉の片方にのみかかっており、葉が開いていれば問題ないが、両方にかかっていると双葉が展開できず、芽の生育も悪くなる。
種皮は硬く無理に取ろうとすると双葉がもげてしまうので、種皮に水分を吸わせてやわらかくすると取ることができる。
臍[へそ]
種の腹(弦)側に角にある凹んだ部分。この部分のすぐ近くの背(丸まった側、弧)から根が出てくる。芽切りの際、この極周囲は傷つけないようにする。
芽切り[めきり]
種の丸まった(弦の)方の硬皮に、やすり、小刀または爪切等で少し削り、白い部分を露出させる作業。吸水しやすくなり、発芽率が高まり、発芽ぞろいがよくなる。種苗メーカーの朝顔の種は、硫酸などで処理をしているため発芽しやすくなっており芽切りの必要はないが、自家採種したものはこの作業を行わないと発芽率が低く、発芽日数が余計にかかりそろいが悪くなる。
芽の出る部分を切り取ってしまうことではありませんので、特にご注意ください。
アフセ(青斑入り蝉葉)[あふせ(あおふいりせみば)]
青葉で、斑が入る蝉葉の系統。キセ、キフセに比べると草勢は強く、葉も大きく蔓も伸びやすい。花も極めて大輪に咲く。行灯仕立て、らせん作りで栽培されることが多い(一部短幹性の弱性種で切込作り向け品種もある)。洲浜遺伝子と蜻蛉葉遺伝子、肌脱ぎ遺伝子に斑入り葉遺伝子が組み合わさったものと考えられている。
キセ(黄蝉葉)[きせ(きせみば)]
黄葉で蝉葉の系統のもの。斑が入らず、アフセに比べて草勢は弱いものの、キフセに比べると草勢が強くなる。また、キフセに比べて葉も大きく蔓も伸びやすい。切込作りで栽培される。洲浜遺伝子と蜻蛉葉遺伝子、肌脱ぎ遺伝子に黄葉遺伝子が組み合わさったものと考えられている。
黄葉[きば] 関連:キセ、キフセ ⇔青葉
遺伝的に葉緑素が少なくなる系統のもので、通常の朝顔の葉色に比べて黄緑色で薄い。そのため草勢が弱くなり、蔓が伸びにくく、蕾つきがよい。切込作りに適する。
キフセ(黄斑入り蝉葉)[きふせ(きふいりせみば)] ⇔アフセ
黄葉で蝉葉の系統で、斑が入るもの。キセに比べて草勢が弱くなる。葉が小さく蔓も伸びにくいので仕立てやすい。切込作りで栽培される。洲浜遺伝子と蜻蛉葉遺伝子、肌脱ぎ遺伝子に斑入り葉遺伝子並びに黄葉遺伝子が組み合わさったものと考えられている。
肥吸葉[こえすいば]
蕾の着いている葉(受葉)の先に1枚残しておく葉のこと。肥吸葉を残しておくことで、肥吸葉が肥大し、ここで余分な肥料を消化させ、他の葉の肥大化を抑え、草姿が乱れるのを防ぐ役割を果たす。展示会に出品する際にはこの葉を切り取り、草姿を整えて仕上げる。
蝉葉[せみば] 関連:青葉、キセ、キフセ
葉の左右の翼片がそれぞれ1〜3枚前後に裂開し長く伸び、主片の中央がふくらみ、まるでセミが翅を広げたような形状の葉となる系統で、花は曜が増え、花弁が伸び、大輪に咲く傾向がある(中輪の系統もある)。現在大輪朝顔の主流をなす。洲浜遺伝子と蜻蛉葉遺伝子、肌脱ぎ遺伝子が組み合わさったものと考えられている。なお、昔は大輪咲の系統で雁葉という系統があったが、現在はほとんど見ない。
並葉[なみば] 関連:蝉葉
主片と翼片2つある野生型の葉。三尖葉(さんせんよう)、常葉(つねは)とも呼ぶ。この葉しか生えない株は、大輪には咲かない。
肌脱ぎ[はだぬぎ] 関連:蝉葉
翼片と葉柄の間で葉脈が露出している。花はやや大きくなる。多くの大輪朝顔がこの変異をもっている。
斑入り葉[ふいりば] 関連:アフセ、キフセ
葉の一部に、葉緑素が抜けて白斑、もしくは薄緑色の斑が入る葉。遺伝による。草勢が弱くなり、葉を小さく、蔓の徒長も抑えやすくなり、花を大きく咲かせやすくなる。蝉葉画像参照
紅鳩[べにばと] 関連:黒鳩、鳩羽、鼠、葡萄鼠、団十郎茶
花色のうち、紫がかった鼠色を指す。紫遺伝子に柿遺伝子が入ると、この色になる。朝顔独特の色。胚軸色は暗紫色。
浅葱(浅黄)[あさぎ]
花色のうち、すこしくすんだ青色(緑味青)を指す。浅黄とも表される。青(野性型)にすすけ遺伝子が入ると、この色になる。朝顔の世界では青い花色を浅葱と総称することが多い。浅葱に淡色遺伝子が入ると、水浅葱色、濃色遺伝子が入ると濃浅葱色になる。
変[かわり]
花銘(品種)の本来の色・柄と異なった花をつけるものを指す。「○○○○(花銘)変」と表す。ただし、自家受粉したにも関わらず変となるものは変と呼んで構わないが、虫媒の可能性のあるものは変としてよいものか疑問である。
黒鳩[くろばと] 関連:鳩羽、鼠、紅鳩、団十郎茶
花色のうち、鳩の羽色の黒っぽい色を指す。青(野性型)に柿遺伝子、濃色遺伝子が入ると、この色になる。朝顔独特の色。
紺[こん] 関連:紺青、濃青、瑠璃
花色のうち、濃い青色を指す。(野性型)遺伝子に濃色遺伝子が入るとこの色になる。胚軸色は暗紫色。
団十郎茶(濃茶、栗皮茶)[だんじゅうろうちゃ(こいちゃ、くりかわちゃ)] 関連:黒鳩、鳩羽、鼠、紅鳩
花色のうち、濃い(栗の鬼皮)茶の色を指す。江戸時代、市川団十郎がこの色を好んだことからこう呼ばれる。暗紅遺伝子に柿遺伝子、濃色遺伝子が入ると、この色になる。朝顔独特の色。当会でも人気の色。
納戸[なんど] 関連:縹、青
花色のうち、青っぽい水色を指す。納戸にかけた風呂敷の色。
鳩羽(鼠)[はとば(ねずみ)] 関連:黒鳩、紅鳩、団十郎茶
花色のうち、鳩の羽色を指す。青(野性型)に柿遺伝子が入るとこの色になる。朝顔独特の色。胚軸色は暗紫色。
縹[はなだ] 関連:納戸、青
花色のうち、青色を指す。(野性型)遺伝子だとこの色になる。胚軸色は暗紫色。
葡萄鼠[ぶどうねずみ] 関連:黒鳩、鳩羽、鼠、紅鳩、団十郎茶
花色のうち、黒紫色を指す。紫遺伝子に柿遺伝子、濃色遺伝子が入ると、この色になる。朝顔独特の色。
霞(砂子、暈し)[かすみ(すなご、ぼかし)]
花の中央はやや濃いめで、周辺部が退色した模様を指す。当研究会では表現に『霞』を用いている。
霞覆輪(砂子覆輪、暈し覆輪)[かすみふくりん(すなごふくりん,ぼかしふくりん)]
花弁の縁の覆輪部分の境界が淡色の色地で、中央に向けて、より淡色になる模様。胚軸色:緑色で根元がわずかに着色。
車絞(花笠)[くるましぼり(はながさ)]
色地に、覆輪が花弁の中央近くまで流れ込み、星形の模様になる。流れ込んで模様がぼやけているものは花笠と呼ぶ。大輪朝顔では花笠模様は評価が低い。
時雨絞(雀斑)[しぐれしぼり(そばかす)]
白地に短い色線が一部に入る模様を指す。その線が太く、曜間を染める模様は染分、花弁が全て色付き、時雨絞と同時に咲くと咲分と呼ぶ。
縞柄(友禅絞)[しまがら(ゆうぜんしぼり)]
花弁の色地に白地もしくは淡色の条斑、縞が放射状に入る模様を指す。色彩花では最も評価が高いとされる。縞柄は色地が全体の7分を占めるのがよいとされるが、紅縞に関しては五分五分がよい。吹雪柄と同じ遺伝子。遺伝型は優勢。
抜紋(梅型抜紋)[ぬけもん(うめがたぬけもん)] 関連:村雲絞
濃色の花弁の曜と曜の間が丸く淡く色抜けする模様を指す。
刷毛目絞[はけめしぼり]
淡い暗色の地色に濃い明色の細かい条斑が入る模様。模様は不安定。非常に珍しい。偽柿遺伝子の影響によると考えられる。胚軸色:淡褐色。
覆輪[ふくりん]
花弁の外周部が、白い帯状になる模様を指す。幅の広いものは深覆輪、細いものを糸覆輪、弁先だけのものを爪覆輪と呼ぶ。大輪朝顔では覆輪が深いものほど評価が高く、爪覆輪は評価が低い。競技種別では無地花扱い。
吹雪柄[ふぶきがら]
花弁の色地に白い斑点が一面に入る模様を、雪の降る様に例えて吹雪柄と呼ぶ。
吹掛絞[ふきかけしぼり(ふっかけしぼり)]
白(極淡黄)地に斑点が一面に入る模様を指す。色点が極めて密に入り一見無地色花に見えるものを吹掛染と呼ぶ。
無地[むじ]
花弁は一面一色で、模様がない花を無地花と呼ぶ。
村雲絞[むらくもしぼり] 関連:抜紋(梅型抜紋)
淡色の花弁の曜と曜の間が丸く濃色紋が出る模様を指す。
雪輪(雲輪、暈覆輪)[ゆきわ(うんりん、ぼかしふくりん)]
花弁の縁が有色の覆輪で、白地の花模様。『雪輪』は珍しく、中村長次郎氏の『沖の篝火』の一例がある。
底紅[そこべに]
筒の底色が紅(紫)色に着色すること。r1白遺伝子の影響による。
筒抜け[つつぬけ]
花筒が白いこと。筒汚れに対して劣性形質。日輪抜けと陽光抜けとに分類される。
筒汚れ[つつよごれ] ⇔筒抜け
花筒に色がつくこと。野生型の形質。大輪朝顔では評価が低くなる。
筒紅[つつべに]
花筒が、筒汚れの中でも特に濃く着色したもの。逆に観賞価値は高くなる。
丹波鉢[たんばばち]
京都の丹波地方で出た土で焼かれた鉢。朝顔展示会ではこの鉢に植えて出展することが多い。育苗用小鉢は鉢土を渇き気味に管理したいので小さめの鉢を用いる。蔓づくりでは3.5〜4号鉢を使用する。常滑焼でも支障ない。鉢土が乾きづらい環境で栽培する場合は駄温鉢で育苗した方が根の張りがよい傾向にある。仕立用本鉢では、行灯作り用は筋入り7号を、らせん作り用は釣鐘型7号鉢を使用すると支柱との相性も良い。らせん作り用では丹波焼きの代用として常滑焼の釣鐘型7号も可。展示会に出品しないのであれば、深駄温鉢7号でもよい。素焼鉢は乾きすぎるため不可。丹波鉢の入手は以前は困難だったが、最近は手に入るようになった。ただし、近隣の植木鉢取扱店には置いていないことが多いので早めに準備しておきたい。
黒釉香炉鉢[くろゆうこうろばち]
高台の高い香炉に似た黒釉で塗られた鉢。朝顔展示会では切込作りがこの鉢に植えて出展することが多い。育苗用小鉢は鉢土を渇き気味に管理したいので小さめの鉢を用いる。切込では3〜3.5号鉢を使用する。鉢土が乾きづらい環境で栽培する場合は駄温鉢で育苗した方が根の張りがよい傾向にある。仕立て鉢は黒釉香炉鉢5号(15cm径)〜6号(18cm径)か、丹波焼香炉鉢5号〜6号を使用する。号数は花径のバランスを考えて選定する。近隣の植木鉢取扱店にもあまり置いていないことがあるので早めに準備しておきたい。
駄温鉢[だおんばち]
素焼鉢と同じ粘土に砂を加えて約1,000℃で焼いてあり、素焼鉢より硬質で丈夫。素焼鉢に比べ肌のきめが細かく、胴は赤茶色で色が濃い。桟に濃茶色の釉薬が塗られているので他と区別できる。鉢自体の通気性、透水性は素焼鉢ほどではないが、プラスチック鉢や全体に釉薬がかかった鉢に比べて通気性、透水性に優れる(鉢土水分の約22%が鉢側面から蒸散する)。重い。高さの浅い浅駄温鉢と深い深駄温鉢があり、朝顔には深駄温鉢がよい。深駄温鉢の大きさは、4号鉢は外寸で縁径12.8cm、底径8cm、高さ10.5cm、内寸で縁径10.5cm、底径7cm、内高9.8cm、底穴径1.8cm。7号鉢は外寸で縁径22cm、底径14cm、高さ18cm、内寸で縁径20cm、底径11.5cm、内高17cm、底穴径4cm前後(製造元で異なる)。
朱温鉢[しゅおんばち]
駄温鉢と同様の温度で焼いて作った鉢。肌のきめ、色も似ているが、釉薬が塗られていないので、駄温鉢、素焼鉢と区別できる。通気性、透水性は駄温鉢と同等のようだ。
素焼鉢[すやきばち]
700〜800℃で焼いてあり、もろくて割れやすく、また汚れやすい。胴は白っぽい薄茶色。桟に釉薬は塗られていない。多孔質で、鉢の側面からの通気性や透水性が駄温鉢や朱温鉢に比べて非常に早く(鉢土水分の約80%が鉢側面から蒸散する)、鉢土の乾きが激しい。そのため鉢が冷えやすい。蘭の栽培には支障ないが、朝顔栽培には適さない。
テラコッタ鉢[てらこったばち]
1,000〜1,300℃で焼いてあり、朱温鉢とほぼ同等か硬質。オレンジ色がかった明るい茶色。通気性や透水性も朱温鉢と同等。大きさやデザインが多様で、同一のものを多数そろえるのは少々困難。なお、テラコッタ鉢には「高台(こうだい)」(下駄)がなく、平台にそのまま置くと鉢底穴をふさぐため、別に下駄を履かせる必要がある。
プラスチック鉢(プラ鉢)[ぷらすちっくばち(ぷらばち)]
プラスチック製の硬質の鉢。園芸店やホームセンターで手軽に入手できる。大きさも各種揃っているが、小さいサイズはあまり見かけない。側面からの通気や透水がないので、駄温鉢に比べ根張りが遅く、徒長しやすい。また、陶製の鉢に比べ転びやすい。
スリット鉢[すりっとばち]
プラスチック鉢の一つで、鉢側面にスリット(縦筋の切れ込み)が入っている。スリットのないプラスチック鉢に比べると排水性、通気性がよく根腐れしにくい。陶製の鉢では鉢際で根が横に巻いて伸び、放っておくと根詰まりを起こすが、スリット鉢は切れ込みの作用で根巻きが起こりづらく、比較的培養土内に均等に根が張るか、下に伸びる。
ポリポット[ぽりぽっと]
ポリエチレン、ポリプロピレンを原料に作られた軟質のポット。園芸店やホームセンターで手軽に入手できる。大きさも各種そろっている。鉢の肉が極めて薄く、同じ外寸の鉢に比べ内径が大きく、鉢側面からの通気や透水がないので、駄温鉢に比べ根張りが遅くなる。よって、一回り小さいサイズを用いるとよい。軽くて取扱いが楽だが、つぶれやすく、また転がりやすいのが難点。
鉢底網(サナ)[はちそこあみ(さな)]
鉢土を鉢底穴から落下させないように穴をふさぐ網。園芸店やホームセンターで手軽に入手できる。大きさも各種そろっている。シートになっているものを自由な大きさに切って使うものもある。底穴より大きめの鉢欠けや、石を使うのもよい。その場合は穴を完全にふさがないように注意する。
腐葉土[ふようど]
培土の基本資材。落葉広葉樹の落葉を腐熟させた堆肥の一つ。通気性に優れる。目詰まり防止効果がある。微生物のすみかにもなり、微量要素も豊富。保温性もある。シイ、カシ、ナラ、ケヤキ、クヌギなどの肉厚の落葉を原料に発酵させたものがよい。針葉樹葉、サクラ、イチョウの葉は腐らないため不可。栗もあまりよくない。各社から販売されているが、産地や原料、腐熟具合等の品質に差があるので購入に当たってはよく調べること。市販品は腐熟が進んでいないものもみられることから、自分で米ぬか等を加えて腐熟をさらに進めるのがおすすめ。自作したものもよい。自作の場合は、上記落葉を集め、枝や石、微塵を抜き、それに水をまんべんなくかけたものをコンポストもしくは堆肥場で、米ぬかを発酵材としてよく混合して積み込むか、落葉と米ぬかを交互に積み重ねる。米ぬかと骨粉を混ぜてもよい。定期的に観察し、表面が乾いてきたら水をまんべんなくかける。一冬越してまんべんなく黒く変色し、手で握るとぽろぽろと崩れるようになれば完成。微塵を抜き、日に乾し、土のう袋等に保管しておけば長期保存可能。
堆肥[たいひ]
培土の基本資材。土、砂礫に配合して通気性・排水性、保水性などの土壌改良効果を高める効果に優れる。保肥力も高める。肥効もある。腐葉土と同様、培養土の物理的効果(培土の団粒化促進による透水性及び保水力の向上)、保肥力の向上や肥料成分(微量要素)の供給力を高めるために用いる。
家畜ふん主体の堆肥、植物原料主体の堆肥など、原料、製造法ともさまざまであり、また、原料・製造法により効果も異なってくる。いずれの堆肥も完熟(腐熟)したものを用いたい。
家畜ふん主体の堆肥は上記効果の内、肥料的な効果が高い。中でも豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥は窒素成分が多く有機質肥料と同等の肥効があり、利用には注意(元肥量を調整)が必要である。馬ふん堆肥、牛ふん堆肥は窒素成分が比較的少なく、副原料の植物原料が割合的に多く、利用しやすい(ただし、尿が含まれていると塩分が高くなるので大輪朝顔栽培には注意。副原料におがくずの割合が高いものはその可能性あり)。
植物原料主体の堆肥は上記効果の内、土壌改良的な効果が高い。肥効はほとんどないか、穏やかである。バーク(広葉樹皮)堆肥、わら堆肥、もみ殻堆肥、おがくず堆肥、葦堆肥などさまざまな原料から作られた堆肥があるが、家畜ふん堆肥に比べて窒素成分量は少ない傾向にあり、朝顔栽培に使用される例が多い。なお、ぼかしは米ぬかなどの肥料分の多い原料を発酵させたもので、植物原料主体の堆肥の中では窒素分が多く、利用には注意が必要である。
未熟な堆肥は培土に配合後すぐに植え付けると、培土中の微生物が窒素を取り込み、結果、培土中の窒素が不足して窒素飢餓となりやすい。用意した堆肥が完熟していないようであれば米ぬか等を配合し、積み込みなどを行って完熟させてから施用する。
市販の堆肥の腐熟度を計るには、色具合が淡く黄色いもの、アンモニア臭などの悪臭がするものなどを避ける他、袋などの裏面に「肥料取締法に基づく表示」の「炭素窒素比」を参考にする。大まかな目安としては、炭素窒素比が10以下の場合は肥料的な効果がある堆肥、10以上15未満はぼかし肥的な堆肥、15〜30は土壌改良的な堆肥と判断してさしつかえない。30以上は完熟していない可能性がある。
堆肥の自作、腐熟促進を行うのであれば、下記リンクが参考になる。畜産農家を対象にしたもので難しい内容だが、畜糞堆肥の選び方、取り扱い、自作のヒントとなる記述がある。
良い堆肥生産のポイント
堆肥の利用目的とよい堆肥
微生物の働きを生かす堆肥の作り方
堆肥の腐熟度の評価法
作物別堆肥施用基準の考え方
これからの家畜ふん堆肥の使い方
家畜ふんの簡易な脱臭─ 米ぬかの脱臭効果の実証 ─
軽石[かるいし]
培土の基本用土。排水性に優れる。軽石、大谷石、日向土(ボラ土・日向砂)、蝦夷砂など天然鉱物由来のものや、パーライト、パミスなど工業製品由来のもの等がある。保水性・保肥力はほとんどない。保温性はある。粒径の違いにより排水性に違いがあり、粒径が大きい方ほど排水性が大きい。
パーライト[ぱーらいと]
軽石の代用となる用土。火成岩として産出される黒曜石や真珠岩、珪藻土等を高温で熱処理してできる人工的に作られた発泡体。多孔質で排水性に優れ軽量の為、土壌改良材や培養土原料としてよく用いられる。pHは中性を示し断熱性に優れかつ多孔質、極めて軽量である。かん水のたびに浮き上がってくる。使用量が多いと根が不安定になるので、多くとも10%以内に抑えておいた方が無難。
パーライトは大まかに以下の二つに分類される。性質がまったく異なるので、用途に合わせて使い分けると良い。なお、どちらの系統かは記載されていないことがほとんどなので、見分け方は下記を参考にする。
砂礫[されき]
培土の基本用土。排水性に優れる。川砂、富士砂、矢作砂等がある。2mm目篩で篩って下に落ちた川砂は播種にも用いる。この川砂は通気性がよくないが、その他の砂礫は通気性・排水性に優れる。保水性・保肥力はない。蓄熱効果がある。
土[つち]
培土の基本用土。荒木田土、田土、赤玉土、黒土等がある。
荒木田、田土:肥料分を若干持っており、保水性に優れ、保肥力も高いが、透水性・通気性が悪く、崩れやすいため目詰まりを起こしやすい。利用するには通気性のを高めるためEb-aなどを混合して大豆大に丸めて使う。
赤玉土:入手が容易。粒状であるため排水性、通気性があり、保水性もよいが、火山灰土でありやや酸性(pH6.5前後)である。また、りん酸を吸収してしまい肥効を悪くする。肥料分は全くない。かん水するごとにつぶれやすく目詰まりの原因になるので、できるだけ崩れにくい硬いものを選ぶとよい。赤玉土と紛らわしいものに焼成赤玉土と呼ばれるものがあるが、これはアルカリ性で、赤玉土に比べて保水性、保肥力が低いなど性質が異なる(どちらかというと軽石の性質に似ている)ため、混同しないよう留意する。
黒土:肥料分を持っているが、排水性・通気性が悪く、通常、朝顔培土には使用しないが、堆肥製造の種土に使える。
鹿沼土:どちらかというと軽石の性質に近く、排水性はよいが、赤玉土に比べて保水性、保肥力は劣る。粒はつぶれにくい。通常、朝顔培土には使用しない。
もみ殻くん炭[もみがらくんたん]
培土の基本土壌改良資材。もみ殻を蒸し焼きして炭化させたもの。通気性の向上、培土のpH維持、微生物のすみかとしてよく使用される。もみ殻の形が残っているものがよい。形が崩れているものや、灰がついて白っぽく見えるものは避ける。
その他園芸用土用資材
ゼオライト:加里、石灰、苦土、アンモニアなどを蓄えたり、放出したりする性質のある鉱石。水分の調整能力もある。細菌のすみかにもなる。土壌改良資材として使用する人も多い。産地により品質に差がある。人工のものもある。
バーミキュライト:排水性、通気性がよく、保水性、保肥力がある、比重の非常に軽い鉱物性人工培土。腐葉土・堆肥と同様の効果とみなしてよい。播種用土の材料として川砂と配合して使用する例も多い。
ヤシ殻:通気性、保肥力がよい。品質はさまざまで、あく抜きされておらず塩分が残留しているものも多数あるので、選択には注意する。ピートモスに比べ分解は遅い。乾くと水をはじき、培養土中のみずみちの発生源になる。その場合は界面活性剤を入れた水に鉢ごと漬けてなじませる。
ピートモス:通気性、保水性、保肥力が高い。有機酸を含み酸性を示すが、石灰を加えて中和したものもある。品質もさまざまで、よく吟味する必要がある。カナダ産のものは品質が良い。鉢植え、育苗などに適する。分解が早く効果は1年程度。流通量が多く入手しやすい。乾かすと水をはじくようになるので、上記同様の処置を施す。
ゴロ(鉢底石)[ごろ(はちぞこいし)]
鉢の底に敷いておく石。鉢内下部の培土は水分が抜けにくいのでゴロを敷いて透水性、通気性を高めるために用いる。軽石、礫などの中〜大粒を利用する。
乾燥肥料[かんそうひりょう]
油粕、骨粉、米ぬかに水を加えて練り、発酵させたものを乾燥させた肥料。朝顔では小鉢・本鉢へ元肥や、埋肥・置肥として愛用している人が多い。よくできた乾燥肥料は根傷みがなく、葉の厚みが増し、花色がよくなる効果をもたらす。
水肥[みずごえ] =液体肥料(液肥)
朝顔では追肥としてかん水がわりに液肥を与えることからこのように呼ぶ。無機態窒素主体の液肥、有機態窒素入りの液肥などがある。好みもあるが、栽培環境条件、管理の習慣や気象条件にて使い分けたりする人もいる。それぞれに長所短所があり、一般に無機液肥は即効性だが肥料切れが早い。よって、梅雨時期にもこまめに追肥する必要がある。有機液肥に比べ低温時に肥効が高い。また、開花期直前の微調整に施用されたりする。りん酸が多めの液肥(N:P:K=6:10:5)を通常使用されることが多い。一方、有機入り液肥は無機液肥に比べて肥効が穏やかで長効きする。追い込み(肥料濃度を徐々に高めて施用する管理)の際も根痛みの心配が無機肥料に比べて少ない。ただし、尿素入りの有機液肥は肥効が強いので注意が必要。市販品も数多く、無機液肥、有機入り液肥など各社多数揃っている。無機液肥ではハイポネックスや花工場などの商品名のものを使用している人が多い。有機入り液肥では当会ではスーパーワンなどの商品名のものを愛用する人が多い。また、自作(油粕、骨粉、米ぬかに水を加えて練り上げ、発酵させた肥料に水を加えて味噌状にしたものを濾して希釈)している人もいる。肥料が効きすぎた兆候が見られた場合は比較的窒素が少なめの液肥を施用するとよい。
一加里(リン酸一カリウム、リン酸二水素カリウム)[いちかり(りんさんいちかりうむ、りんさんにすいそかりうむ)] ⇒リン酸一カリウムの略
二加里(リン酸二カリウム、リン酸水素二カリウム)[にかり(りんさんにかりうむ、りんさんすいそにかりうむ)] ⇒リン酸二カリウムの略
三加里(リン酸三カリウム、リン酸カリウム)[さんかり(りんさんさんかりうむ、りんさんかりうむ)] ⇒リン酸三カリウムの略
尿素[にょうそ]
化学式(H2N)2C=O の、白色結晶。吸湿性が高いので粒状のものが多い。密閉容器に保管する。N:P:K≒46:0:0。窒素質肥料の中では最も窒素含有量が高い。即効性。葉からの吸収が早く効果が高いので、根痛みを起こした際、窒素施用の葉面散布による応急処置に利用できる。葉の厚み、大きさが増し、花も大きくなる傾向にある。ただし、施用量・濃度が高いと効きすぎて花芽が着かなくなるなど弊害が生じるため、少量(低濃度)の使用にとどめる。水への溶解度は108 g/100 mL (20 ℃)。水溶液は中性を示す。10gを水に溶かして100mLにした水溶液で保管し、使用する際にスポイトやメスピペットなどで調合すると便利。例えば1mLの水溶液を1Lの水に溶けば、0.1g/1Lの尿素溶液となる。使用する際は0.1〜0.5g/1Lの濃度範囲で葉面散布する。粒のままの施用は濃度障害、ガス害を起こす可能性があるので行わない。
過りん酸石灰(過石)[かりんさんせっかい(かせき)]
灰褐色の粉末で、元肥、追肥のいずれにも利用する。主成分が水溶性であるため速効性がある。一方、雨で流亡しやすい。赤玉土に接触すると植物が吸収できない形態に変化しやすいので、腐葉土や堆肥に混合してから赤玉土と配合する。可溶性りん酸17.5%、内、水溶性りん酸14%程度を含む。生育初期のりん酸の補給に極めて有効。
ようりん(熔成燐肥)[ようりん(ようせいりんぴ)]
濃い灰色か淡い緑色の、細かい砂のような粉末で、元肥として利用される。りん酸のほとんどが水に溶けず、植物の根から出る有機酸に溶けて吸収される性質(く溶性りん酸)で緩効性の肥料。よって生育初期の効果はほとんどなく、根が張ってから効果が得られる。く溶性りん酸20%前後。その他、く溶性苦土15〜18%、アルカリ分40%、可溶性ケイ酸20%を含み、マンガンやほう素などの微量要素もある。アルカリ性を示す。
植物油かす類[しょくぶつあぶらかするい]
菜種、大豆、綿実、ゴマ、落花生などの植物の種子や米ぬか等から油を搾ったかすを一括して植物油かす類と呼ばれる。
菜種油かすは植物油かす類では流通量も多く安価。肥効は植物油かす類の中間(25℃環境で約1か月後50%強。以降も同程度)を示す。なお、温度が低い(15℃)場合、窒素の初期(1〜2週間後)無機化率は25℃の場合に比べ約20%低く、非常に少なくなる(5〜10%前後)。落花生油かす、綿実油かすは菜種油かすより若干高い(25℃環境で約1か月後60%前後)。大豆油粕は植物油かす類の中では肥効が最も高く速い(同80%強)。米ぬか油かす、ごま油かすは菜種油かすより若干低い(同40%)。菜種油かすや綿実油かすなど多くは、N:P:K≒5〜6:2:1程度含み、大豆油粕はそれぞれ7:1:2程度を含む。栽培品種、栽培環境条件、管理の習慣や気象条件により適応するものを選択したい。
菜種油かすは、土壌の物理性を改善したり、土壌微生物を増やす働きが大きいなどの特徴を持つ。しかし、土中で分解した窒素の硝酸化が極端に遅い、施用直後は発芽を強く抑制するという欠点があるので注意する。大豆油粕は、肥効が速く、土壌の物理性改善効果も高く、地力の維持増進によいとされている。
魚粉類[ぎょふんるい]
生魚を煮て油と水分を除き、乾燥させたものを魚かすと呼ぶ。
一般的な魚かすは、窒素とリン酸をそれぞれ7〜10%、4〜9%含む。比較的速効性の肥料(最初の1週間で50%無機化する。)で、元肥・追肥ともに使える。温度が低くとも土中の窒素は分解され、寒冷地、重粘土や砂土などでも肥効が高く、肥料の流亡も少ない肥料。魚かすはアミノ酸が多く含まれ、植物体内の代謝も早く、花色も鮮やかになる傾向にある。しかし、一度に大量に施すと土中のアンモニア発生による害が生じる可能性がある。
グアノ
海鳥やコウモリの糞が長い年月をかけて堆積されてできたもので、「窒素質グアノ」、「リン酸グアノ」、「バットグアノ」の3種類に分類される。窒素質グアノは良質な肥料だが現在ほとんど流通がない。リン酸グアノとバットグアノは家庭園芸用ではりん酸分の供給源として人気があり流通しているが、中にはりん酸分のほとんどが難溶性のものもあり、その場合肥効が期待できない。購入に際してはりん酸全量よりも、く溶性りん酸の割合が高いものを選択するようにしたい。
骨粉類[こっぷんるい]
獣骨を処理して乾燥粉砕した肥料。有機質肥料の中ではりん酸(骨由来のりん酸カルシウム)分を多く含む。すぐには分解されにくいため、肥効は緩効的で残効も長い。
豚骨、豚骨と鶏ガラ、または牛骨を水とともに煮沸して脂肪分を除いた後に乾燥粉砕したものや、生骨をそのまま乾燥後粉砕したものを生骨粉という。生骨粉は窒素3〜5%、りん酸16〜20%含む。
動物の生骨を加圧蒸煮し、脂肪(骨油)及びたん白質の一部(ゼラチン)を除去して乾燥・粉砕したものを蒸製骨粉という。蒸製骨粉は窒素3〜4%、りん酸17〜24%含む。
鶏ガラのみを原料として生産された蒸製骨粉を蒸製鶏骨粉という。窒素3.5〜5%、りん酸13〜21.5%含む。
最近は牛骨の流通がほとんどないため豚、鶏骨由来の骨粉に置き換わっており、昔に比べてりん酸分が少なくなっている。いずれの種類の骨粉も流通量が少なくなっているため、以前に比べてかなり高価になっている。
また、と殺場、食肉加工場、水産工場及び缶詰め工場で廃出する肉片、雑骨類を集め蒸熱、圧搾して油脂分の大半を採った残りを粉砕したもの、または肉かす粉末と骨粉を混合したものを肉骨粉という。窒素5〜9%、りん酸5〜20%含む。窒素の分解に従ってりん酸が溶けやすくなり、りん酸の吸収、利用性が高い優れた有機肥料だが、BSEの感染源になりうるとして、一旦は完全に流通が禁止された。国内品については非常に厳しい審査を経て僅かに生産されているが、非常に高価で流通量も僅か。
リン酸一カリウム(一加里、リン酸二水素カリウム)[りんさんいちかりうむ(いちかり、りんさんにすいそかりうむ)]
花芽形成促進に効果が高いといわれている。葉からのりん酸、加里の吸収率は低いので、葉面散布よりも根からの追肥に向く。化学式KH2PO4の、吸湿性のある白色結晶性粉末。水への溶解度は22 g/100 mL (25℃)。水溶液はpH4.4〜4.9の酸性を示す。吸湿性があるので密閉容器に保管する。皮膚や眼に対して刺激性があるので、取扱に注意する。N:P:K≒0:52:34。10gを水に溶かして100mLにした水溶液(冬期間は析出する可能性があるので、使用前によく混合して調合する)で保管し、使用する際にスポイトやメスピペットなどで調合すると便利。例えば10mLの水溶液を10Lの水に溶けば、1g/10Lの一加里溶液となる。2〜5g/10Lの濃度範囲で施用する。
リン酸二カリウム(二加里、リン酸水素二カリウム)[りんさんにかりうむ(にかり、りんさんすいそにかりうむ)]
花芽形成促進に効果が高いといわれている。りん酸加里資材の中では水に溶けやすく、葉面散布の効果が若干高い。化学式K2HPO4の、吸湿性のある白色粉末。水への溶解度は167 g/100 mL (20 ℃)。水溶液はpH8.7〜9.3と弱アルカリ性を示す。潮解性が強いので密閉容器に保管する。N:P:K≒0:40:54。100gを水に溶かして100mLにした水溶液(冬期間は析出する可能性があるので、使用前によく混合する)で保管し、使用する際にスポイトやメスピペットなどで調合すると便利。例えば1mLの水溶液を10Lの水に溶けば、1g/10Lの二加里溶液となる。2〜5g/10Lの濃度範囲で施用する。
リン酸三カリウム(三加里)[りんさんさんかりうむ(さんかり)]
花芽形成促進に効果が高いといわれている。化学式K3PO4の、吸湿性のある白色粉末。皮膚や眼に対して刺激性があるので、取扱に注意する。水への溶解度は90g/100 mL (20℃)。水溶液はpH11.5〜12.5とアルカリ性を示す。N:P:K≒0:33:66。吸湿性があるので密閉容器に保管する。10gを水に溶かして100mLにした水溶液で保管し、使用する際にスポイトやメスピペットなどで調合すると便利。例えば10mLの水溶液を10Lの水に溶けば、1g/10Lの二加里溶液となる。2〜5g/10Lの濃度範囲で施用する。
その他の肥料[そのたのひりょう]
普通肥料の公定規格に、市販の肥料の種類の分類、最低保障量などを表示している。肥料の種類の各項をクリックすると、どの原料をどのように加工したか、一般的な含有成分量などの解説を読むことができる。
行灯仕立[あんどんじたて] 関連:らせん仕立、⇔切込作り
3本の支柱に3つの輪がついた支柱に蔓を巻きつける仕立て方。大輪朝顔展示会では、1段目の輪に三分の二を巻きつけ立ち上げ、2段目の輪にも三分の二を巻きつけ立ち上げ、三段目の輪にかかったところで芽先を摘んで仕立てる決まりとなっていることが多い。アフセの品種を仕立てるのに採用される。大阪で考案され、関東でも盛んに仕立てられている。上手に栽培すると、花径22〜25cmの花を咲かせることができる。支柱は市販されており、入手しやすい。
らせん仕立[らせんじたて] 関連:行灯仕立、⇔切込作り
鉢中央に一本の支柱を立て、支柱に3回転半のらせん状の針金を取り付けたものに蔓を巻きつけ、らせんの天頂で芽を摘む仕立て方。らせん支柱は販売されておらず、自作する必要がある。アフセの品種を仕立てるのに採用される。どの方向からも花が外を向き、蔓も巻きやすい。収納も場所を取らない。
切込作り[きりこみづくり] 関連:行灯仕立、らせん仕立
蔓を伸ばさずに蔓先を摘み取り、盆栽のように草姿をコンパクトに仕立てる栽培方法。キセ、キフセ(一部アフセの弱性種)の品種を仕立てるのに採用される。
素股[すまた]
葉腋(葉柄のつけ根)に芽も蕾もつかないこと。気象条件やかん水、肥料の効き具合により生じることがままある。
草勢[そうせい]
生長の勢いを表す。品種により強性、中性、弱性に分類される。新品種や交配種の場合、未分類なので花色(青系、淡色系は強性が多い。一方、黒鳩、茶系統は弱性が多い傾向にあるなど。)や本葉の斑の多少(斑が少ない品種は強性が多い。一方、斑の多い品種は弱性の傾向にある。)により想定し、実際の栽培にて判断する。
強性:生長の勢いが強く、大柄な草姿になる傾向の性質。肥料の食い込みがよい。そのため、葉が大きくなりやすく、節間が伸びやすい。強めの肥料を与えても耐える傾向にあり、芽止まりしにくいが、反面、蕾つきが悪く、素股が生じやすい。草姿を整えるため、かん水を控え、抑制ぎみに栽培管理を行う必要がある。強めの肥料を与えることで花を大きく咲かせる。
弱性:生長の勢いが強性種に比べて弱く、葉小花大の草姿になる傾向の性質。葉が比較的小さく、節間はつまり、小ぶりに仕立てやすい。強めの肥料を与えると芽止まりし易い。肥料に弱いので、肥料を一気に与えず、薄めの肥料を毎日与えることで花径を大きくしたい。
摘芯[てきしん]
蔓の先端を摘む行為。これを行うことで、草姿を整えたり、子蔓、孫蔓や花径の伸びを促すことができる。
花切れ[はなぎれ]
花の合弁部が切れてしまうこと。大きく切れてしまうと、審査で減点される。
アブラムシ類[あぶらむしるい]
育苗期に葉裏に発生することがあるが、小鉢移植時、本鉢定植時にアブラムシ類に効果の高い粒剤を施用しておくことで被害を抑えられる。発生してしまった場合は、新芽、若葉を中心に効果の高い薬剤散布による防除を行う。栽培園内外のマメ科植物や、雑草を除草するのは予防対策となる。
ハダニ類[はだにるい]
梅雨が明けると必ずと言っていいほど発生する。空梅雨の年、猛暑の年には発生が激しくなる。雨よけ栽培、ハウス栽培でも大発生しやすい。小さいので虫眼鏡を使うと見分けがつけやすい。気温が25℃を超すと増殖著しい。よって気温が高くなってきたらこまめに若葉の葉裏を観察し、赤い点が見えたら息を吹きかける。赤点が動けばそれはカンザワハダニ(ハダニ類画像リンク)などと思われるので間髪入れず防除する。防除薬剤は殺ダニ効果の高い剤を用いる。なお、薬剤は同じものを連続使用すると薬剤抵抗性が発達して効果がなくなるため、殺ダニ剤は少なくとも3種類は用意したい。薬剤がない場合、点発程度であれば応急処置的に水をかけると溺れて死ぬが、葉の表面に白〜黄緑色のかすり状の食害痕が見られるようであれば、薬剤散布でないと効果が得られない。薬剤は特に新芽、新葉の葉裏にしっかりと散布する。
ホコリダニ類[ほこりだにるい]
チャノホコリダニ:6月中旬以降に発生する。症状は、新葉の形がいびつになり、生長が止まったように(新芽が伸びなく)なる。こうなったらホコリダニ類の被害と考えてよい。極めて小さいので、肉眼で見ることはできない。昨年度被害を受けた園では、6月中下旬からハダニ類の防除を兼ねて薬剤防除するしかない。気温が上がると増殖が著しくなるため防除が困難になる。薬剤は特に蔓先の新芽、新葉の葉裏にしっかりと散布する。園の内外に雑草、特にクローバーが生えていれば除草する。椿や山茶花などには越冬するといわれているので、遠ざける配慮が必要である。発生が見られたら、被害部位を切って土中深くに埋めるか、焼却する。
オオタバコガ[おおたばこが]
6〜10月に(年3回)発生する。成虫(蛾)は、夜間、葉裏に薄クリーム色の卵をバラバラに産み付けるため非常に見つけにくい。孵化幼虫は最初から分散し単独行動をとる。芽先、蕾、花や若い果実内に潜り込んで食害する。防除効果の高い薬剤はあるが種類が少なく、また潜り込む性質のため薬剤が効かないことが多い、やっかいな害虫。薬剤抵抗性を持ちやすいので同じ薬剤を続けて散布しないようにする。体長が1cmを超えるとほとんどの薬剤が効かないので、捕殺するしかない。非常に多くの野菜類を食害する。
ヨトウムシ類[よとうむしるい]
ハスモンヨトウ:頭の後ろに一対の黒い斑紋が見られる(ハスモンヨトウ画像リンク)。6月、7〜8月、9〜10月の年間3回発生するが、6月までは被害が少なく、梅雨明け以降被害が大きくなる。盛夏期は夜になると活発に活動して葉や蕾、花を食害する。大きくなると昼は土中に潜ったり鉢下にひそんでいる。秋以降は日中でも見つけやすい。土中で土繭を作り蛹で越冬する。成虫(蛾)は、夜間、葉裏にベージュ色の毛におおわれた卵塊を産み付ける。2齢幼虫までは群生しているので、卵塊は見つけ次第こすり落とし、1cm未満の幼虫を見つけたらすかさず防除を行う。薬剤抵抗性を持ちやすいので同じ薬剤を続けて散布しないようにする。幼虫の大きさが1cmを超えると有効な薬剤は少なくなるので、そうなると捕殺するしかない。マメ科植物、イモ類、ナス科植物をはじめ食草は多数ある。
ヨトウガ:ハスモンヨトウと異なり頭の後ろに黒い斑点が見られない(ヨトウガ画像リンク)。ハスモンヨトウと性質は似ている。
ネキリムシ類:夜間に苗の株元をかみ切る虫の総称。カブラヤガであることが多い。地植えの朝顔や去年の鉢土を再利用したものの発芽後、翌朝軸元からちょん切られていたらこの害虫(ネキリムシ類画像リンク)によるもの。5〜6月にみられる。
(その他の)イモムシ類[いもむしるい]
エビガラスズメ:尻にアンテナのような尾角(びかく)がある。体色は多彩で、緑色の幼虫、褐色の幼虫等がある。老齢幼虫は体長80mmになる。サツマイモや朝顔などヒルガオ科の植物の葉を食べる。体が大きく、被害は大きい。防除は見つけるたびに捕殺するか、薬散を行う。農薬には弱く、有機リン系剤、合成ピレスロイド系剤等で簡単に防除できる。
ヒルガオハモグリガ:葉の表面を食い散らかし、かすり状の被害を生じる。葉に穴が空くこともある。体長は最大7mm。
ナカジロシタバ:葉脈を残して葉を食べ尽くす。体に黄色いストライプが入るのが特徴。老齢幼虫の体長は40mmほど。ハスモンヨトウの防除に準じる。
イチジクキンウワバ:体の横に白い線が入る。老齢幼虫の体長は30mmほど。エビガラスズメ、ハスモンヨトウの防除に準じる。
オンブバッタ[おんぶばった]
幼虫、成虫ともに葉を食害する。葉に穴を空けたり、葉脈を残して食べる害が見られる。多数の葉を食い散らかす。
成虫の体長はオス25mm、メス40mm前後で、バッタとしては小型の部類に入る。メスの方が大きく、体つきもずんぐりしている。頭部はショウリョウバッタのように前方に尖り、先端付近に触角と複眼が並んでつく。体の断面は三角形に近く、眼から後脚腿節にかけて白い線が入る。成虫の翅は前後とも先端が尖る。また、前翅の陰に隠れた後翅は透明だが、基部が黄色みを帯びる。翅は長いが飛ぶことはなく、後脚での跳躍や歩行によって移動する。
体色は緑色と淡褐色の二通りがある。体表は側面の白線以外ほぼ同一色で、特に目立つ模様はない。
バッタ類の多くはイネ科、カヤツリグサ科の植物を好むものが多いが、オンブバッタはクズ、カナムグラ、カラムシなど葉の広い植物を食べる。このため草原に加えてこれらの植物が多い半日陰の林縁も生息域となり、同様の食性をもつツチイナゴと同所的に見られることも多い。また、他のバッタ類が全くいないような都市部でも、緑地帯、空き地、庭園、花壇、家庭菜園などに生息する。園芸植物では特にキク科、シソ科、ヒユ科、タデ科、ナス科、ヒルガオ科が良く狙われる。マメ科植物の優先度は下がる。
農薬には弱い。有機リン系剤、合成ピレスロイド系剤のうち残効性の長い剤が有効。
アサガオ斑点病[あさがおはんてんびょう]
葉に直径3〜10mmの円形または多角形の病斑が現れる。中央部は灰色でその外側は茶褐色となり、その周りが褐色に縁取られる(症状画像リンク)。昨年度発生が見られたら、有機質に富んだ用土を用い、日当たりのよい場所で栽培する。葉の上から潅水しない。窒素質肥料を控え、密植や過繁茂にならないように管理する。被害葉は取り除き土中に埋めるか、焼却する。栽培後は被害残渣を集めて処分する。原因菌はPhyllostictaという糸状菌の仲間。
アサガオ斑紋病[あさがおはんもんびょう]
最初、葉に小さい斑点が生じる。多角形の病斑で、境界は明瞭。暗褐色ないし黒色の病斑となる。症状が激しい場合、隣り合った病斑が融合する。病斑が古くなると中央部に穴があくので、黒斑病と区別できる。病斑が多数形成されると葉が黄化して枯れる(症状画像リンク1、症状画像リンク2)。原因菌はCercosporaという糸状菌の仲間で、湿度が高いと発生しやすい。
アサガオ輪紋病[あさがおりんもんびょう]
最初、葉に類円形〜V字状、または不正形の褐色で、同心輪紋または小粒点の病斑が生じる。その後、病斑が広がり、葉に亀裂(穴)ができたり葉が枯れたりする。(症状画像リンク)。原因菌はPhoma exiguaという糸状菌の仲間で、密植状態だと発症しやすいので、鉢の間隔をあけ、余計な脇芽を取り除き、また、葉が重ならないようにしたい。葉がいつも乾燥するよう心がける。
アサガオ白さび病[あさがおしろさびびょう]
葉表に黄色い斑点が生じ、徐々に広がる。斑点の裏側には白い粒状のポツポツができる。やがて葉表からも胞子が生じ、病斑部が枯れる(症状画像リンク)。早い場合は6月から発生する。原因菌はシロサビ菌(Albugo)という卵菌の仲間で、ベト病、疫病の原因菌と同じ仲間である。朝顔への登録薬剤はない。
肥料過多・肥料欠乏[ひりょうかた・ひりょうけつぼう]
窒素過多の場合、葉がどす黒くなり、打ち込みが強く出て葉がよじれる。新芽の展開前から奇形や葉先枯症状がでる。ひどくなると葉先が枯れてくる。弱性種では芽止まりを起こす。もっとひどい場合、肥料焼けを起こして根腐れが生じ、枯死する。病害に弱くなる。一度に多量の肥料を施用したり、液肥の濃度が濃すぎた場合に生じることがある。
窒素欠乏の場合、下葉から全面が色が薄くなり、生育が低下する。新葉は生長が抑制され、小葉化する。ひどくなると古葉から新葉へ黄化症状が進行し、古葉は枯れてくる。通常は発生しないが、未熟な堆肥、腐葉土などを大量に施用した培土を施用した場合に生じることがある。
リン酸欠乏の場合、株全体の葉身の光沢がなくなり、濃緑色となる。新葉は生長が抑制され、小葉化する。ひどくなると下葉から(青、紫色の花なら)紫色、(紅色の花なら)紅色に変色する。しまいには葉の縁が枯れてくる。低温期に起こりやすい。赤玉土や赤土などの火山灰土が主体の培土だと、りん酸が火山灰土に吸収されりん酸不足が生じる。培土pH(ぴーえいち、ぺーはー)が低いと発生しやすくなる。りん酸を多く含む液肥か、過燐酸石灰を施用して対処する。
加里過剰、石灰欠乏の場合、葉先枯が生じる。カルシウム溶液などの葉面散布をすることで症状が緩和されるが、加里、石灰、苦土のバランスを取ることが根本的な対策である。
加里欠乏の場合、最初に古葉の葉脈の基から赤紫〜黒色に変色、先端の葉脈間が黄変する。進行とともに次第に葉脈に沿って葉縁方向に赤紫〜黒色の変色が広がる。ひどいときは葉縁に広がって枯死する。根の伸びも悪くなり根腐れが起きやすくなる。保肥力の低い培土材料のみを配合した培土で発生しうる。石灰、苦土が過剰な施肥でも発生する。
石灰過多の場合、加里、苦土、りん酸の吸収を抑制する。結果的にpHが高くなることで、リン酸欠乏や鉄欠、ホウ素欠乏に似た症状が生じる。pH調整のため石灰を多量に施用すると石灰過多の症状が生じやすい。よって、石灰は教科書どおりに決まった量を施用するのではなく、pHを勘案しながら施用する。
苦土欠乏の場合、古葉から葉脈間が黄化し、葉縁の枯れと葉の内側への巻き込みが生じる。黄化部分は壊死しにくい。
鉄欠乏の場合、新葉の葉脈間に黄化(黄白色)症状が生じる。古葉には出ない。通常は発生しないが、pHが高い場合、りん酸肥料を過剰施用した場合に発生しやすい。また、マンガン過剰により鉄欠乏が誘発されることがある。
ホウ素過剰の場合、古葉が黒くくすみ、葉縁の葉脈間が褐変する。葉は内側に巻き込み、褐変は葉脈間に沿って中心部へと広がる。ひどくなってくるとこれらの症状が古葉から新葉に進行する。通常は発生しない。ホウ素欠乏対策でホウ素肥料を多く施用したあとにpH改善をすると生じたりする。
ホウ素欠乏の場合、新葉は抽出時からよじれて展開するために奇形化し、進行すると新葉の生育が停止する。pHが高い土壌ではホウ素があっても吸収することができなくなり、このような症状が生じる。土壌が乾燥したときに発生しやすい。まずはpH改善対策を行い、むやみにホウ素肥料を施用しようとしない。
過剰症状、欠乏症状は、窒素以外の栄養素については、単純にその栄養素が過剰、欠乏した状態でなく、pHが狂っていたり、各栄養素のバランスが崩れている場合に発生していることが多い。まずはpHを適正に保つようにすることが、予防と治療の対策となる。
光化学スモッグ[こうかがくすもっぐ]
症状は白斑を生じ、次第に褐色斑や褐色壊死症状(症状画像リンク)を呈する。
工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素(揮発性有機化合物)が、日光に含まれる紫外線により光化学反応を起こして変質しオゾンなどが発生し、葉の葉緑素を破壊することで生じる。
夏に多く、日ざしが強くて風の弱い日に特に発生しやすい。発生しやすい期間は5月から9月にかけて。時間帯は日中の、特に10時頃から17時頃まで。発生しやすい天候は、晴れ又は薄曇。日射が強く、気温が高めで25℃以上の、風が強くないときに発生しやすい。雨の日は発生しない。なお、特定の風向きの時(工場や排気ガスの発生する方向から吹くとき)に発生しやすいということもあるものの、その風向きは地域によって異なる。
植物に対する影響で問題視されるのは、主にオゾンとペルオキシアセチルナイトレート(PAN)という物質。オゾンは植物の葉に白斑・褐斑を生じさせるほか、ひどい場合には葉が枯れ落ちる。また、葉以外でも色素の形成に異常をきたすことがある。このほか、葉の裏面に金属のような光沢を生じさせることがある。通常は汚染を受けてから2〜3日で現れ、それ以降は進行しないとことが多いが、高濃度の汚染や感受性が高い植物の場合は数時間の暴露で影響が生じる。朝顔は比較的影響が出やすい。
高濃度の光化学オキシダントが観測・予測される場合、各都道府県が「光化学スモッグ注意報」「光化学スモッグ警報」などを発表する。翌日に光化学スモッグの発生が予想される場合は全国(日本国内全域)を対象に「全般スモッグ気象情報」を、当日に発生が予想される場合は各地方を対象に「スモッグ気象情報」を、それぞれ気象庁が発表する。
被害を防ぐのは難しい。数鉢であれば室内に取り込むなどの対策が考えられるが、生育への影響が懸念される。光化学スモッグに当たってしまった場合の対処策も検討されていない。