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栽培暦   一、栽培の準備   二、種まき   三、小苗管理(育苗)   四、本鉢管理   五、開花期   六、種採り

1.良い種の入手   2.栽培場   3.培養土   4.資材   5.肥料・薬品等資材

   (1)肥料   (2)薬剤

    i 防除薬剤 (i)薬剤に頼る前にしておきたいこと   (ii)殺菌剤   (iii)殺虫・殺ダニ剤   ii 活性剤 iii 植物生長調整剤

一、栽培の準備

5.肥料・薬品等資材

(2)薬剤

i 防除薬剤
(i)薬剤に頼る前にしておきたいこと

最初に
 朝顔は比較的病害虫の発生が少ない方ですが、それでもアブラムシ類ハダニ類の被害は毎年のように発生します。空梅雨の年には発生しやすくなります。また、長梅雨の年には病気も発生することがあります。最近はアサガオシロサビ病の発生も広がっているようです。
 せっかく端正に育っても、病害虫に侵されて見栄えが悪くなったり、生育が衰えたりすると、苦労も水の泡です。
 防除計画を立てる前にまず心がけることは、病害虫に侵されにくい環境づくりと、健全で丈夫な苗に仕立てていくことです。

栽培環境を整える
 雑草が生い茂る栽培場はもちろんですが、草花や庭木があふれる栽培場は、病害虫が住み着きやすい環境と考えます。
 栽培場の雑草、特にマメ科雑草には春、アブラムシが着きやすいですので早々に除草します。また、草花は密植させず、咲き終わったものは片付けましょう。庭木も事前に剪定しておき、風通しをよくしておくと発生密度が低くなります。
 アブラムシやハダニ類は、春風に乗って飛んできますので、ビルの屋上だとて油断はできません。ビル風に乗ってやってきて、他の植木や草花の鉢植に偶然飛び込む可能性もあります。慢心は禁物です。
 使い古しの培土には根切り虫の幼虫やオオタバコガの蛹が越冬することもありますので片付けます。
 植物の病気の8割は、カビの菌による病気です。カビの生えにくい環境づくりをすることで病気の発生は少なくなります。
 つまり、湿気をこもらせないことです。栽培場全体の風通しをよくし、鉢の間をできるだけ空け、込み入り過ぎた葉や脇蔓を摘除します。
 さらに、病原菌を近寄らせないことです。栽培場にいつまでも去年の枯れ株を残したり、脇芽や葉、花柄をつまんだものを栽培場に捨てたり、置きっぱなしにしないようにします。鉢や道具も洗ってよく乾かし、病原菌が付着することができないよう清潔にして保管しておきます。

病害虫の特徴を知り、対処する
 アブラムシ類、ハダニ類やチャノホコリダニなどの微小害虫は、アブラムシで体長が数mm、ハダニは0.5mm、チャノホコリダニは肉眼で見分けにくく、発見が遅れがちです。また、気温が25℃以上に高くなると7日で卵から成虫になり、再び数十〜百前後の卵を産むといったように増殖スピードが速いので、被害がわかった時にはすでに手遅れになりかねません。
 気温が高く、乾燥した年に発生が多くなり、気温が低く、降雨の多い年は発生は少ない傾向にあります。

 アブラムシ類は発芽期には発生しています。移植、定植時にアブラムシ防除用の粒剤を根から吸わせて寄り付くのを防止します。粒剤の効果は25〜35日程度です。また、反射光を嫌いますので、芽先の高さに反射テープを張るなどの処理は予防効果があります。黄色を好むので、黄色いものを近くに置かないようにします。

 ハダニ類では特にカンザワハダニ(赤ダニ)が、梅雨明け後高温乾燥になると急に発生します。気温が低かったり、降雨が多い年は発生してもあまりひどくはなりません。発生がひどくなると葉の表面がざらつき、葉に黄色い斑点が生じたようになります。葉裏を観察し、ふっと息をかけると赤黒い極小の粒が動くようならカンザワハダニです。図鑑で発生時期を調べたり、栽培日誌を振り返って、発生しやすい時期を予想しながら、その少し前から定期的に防除するしか有効な防除法はありません。粒剤散布では防除効果がありません。発生がみられたらすぐに薬剤防除してください。ただし、薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同じ剤を繰り返し散布していると、その薬剤が効かなくなります。殺ダニ効果の異なる剤を2〜3種類用意し、同じ剤を連続して散布しないようにします。
 これらの害虫は新芽の中に入り込んだり、葉の裏につきます。栽培場の風上側の新芽、日の当たらない方の新葉の裏と、下の方の大きい葉の裏を虫眼鏡でよく観察します。1匹でも見つかったら、後でと言わず、すぐに防除してください。散布箇所は、新芽と、葉裏を重点的に行います。薬剤がないときは、一時しのぎに水をかけ流します。粘着剤は、各葉に複数いるような発生状況では効果がありません。チャノホコリダニは、ハダニ防除を兼ねて防除します。昨年発生があった場合は必ず薬剤散布してください。特に新芽を重点的に防除します。

 ハスモンヨトウ、オオタバコガは、平均気温が15℃を越えるころ越冬蛹が羽化して土から出てきますが、そのころは大した被害にはなりません。高温乾燥した年ではその子孫が7月、通常は8月以降花を食害します。その子孫が9〜10月にかけて発生します。花や果実を食害します。ハスモンヨトウはマメ科、イモ類の葉が特に大好きです。オオタバコガはナス科の植物や草花を好んで食べますので、近くに該当植物があれば注意して観察します。
ハスモンヨトウ幼虫は夜活動します。10m以上這い回ります。昼間は鉢下や土中に潜って隠れています。オオタバコガは小さいうちは葉裏にいますが、大きくなると果実や茎に穴を空けて潜り込みます。朝顔では花、種を好んで食害します。
 成虫(蛾)は葉の裏に産卵します。ハスモンヨトウの卵塊は発見しやすいのですが、オオタバコガの卵は薄クリーム色でバラバラに産むため発見できません。
 薬剤は1cm以下の大きさまでなら有効な剤が効きますが、1cm以上では効果があまりなく、捕まえて殺すしかありません。夜明け前まだ暗いうち、蛾が葉の上でお尻をちょんちょんと何度もつけては飛び回るのを見たら、それは産卵しています。その3日後には孵化していますので、その時に散布します。これらの虫に有効な薬剤は残効がありませんので、予防散布は意味がありません。発生を見つけたらすぐ防除する姿勢でいます。

 窒素過多、水分過剰の管理は植物体を軟弱徒長させ、病原菌が侵入しやすくなり、また養分が豊富なので病気が一気に広がります。心当たりのある方は、適度な肥培管理を心がけます。また、病気は予防が肝心です。予防剤を定期的に散布してください。まだら模様に葉の色が抜けたようになったり、黒い斑点や白い斑点があれば、病気です。その時は治療剤を散布してください。初期であれば治療可能です。

 最近朝顔に発生するアサガオ白さび病の菌は、べと病、疫病の仲間の菌です。菊白さび病の菌とは別物です。べと、疫病の防除薬剤は効果があると思われますが、朝顔など花き類に登録のある薬剤はまだありません。

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 初版:2013年4月27日